\鼻欠け猿が帝釈天を供養する話 ~今昔物語~/

10月28日(土)から行われる鋳金展の名誉顧問である戸津圭之介先生の作品が市役所の1階に展示されています。
ここに書いてあったお話が興味深かったので投稿します🐵

【今昔物語】
今は昔、ある深い山の中にたくさんの猿がすみ、皆で帝釈天を供養していました。
その内、ほとんどの猿には鼻がありませんでした。他の一匹の猿には鼻がありました。

この鼻の無い猿たちが皆集まって、ただ一匹の鼻のある猿を笑いそしること、それは大変なもので、「お前は我々の仲間ではない」と言っていじめました。
この一匹の猿はとても嘆き悲しみました。

たくさんの猿たちは、いろんな珍しい果物や菓子を持って帝釈天に捧げようとしましたが、帝釈天は一つとして受け取ろうとはしませんでした。
ただ、一匹の鼻のある猿の供養の物はありがたく皆受け取りました。

この猿たちは帝釈天に向かって「なぜ我々の供養の物を受け取らないで、あの者の供養を受け取るのですか」と問いただしました。

帝釈天はそれに答えて「あなたたちは大勢集まって、なぜ健全な心を持った一匹を笑い非難するのか。そんなことだからお前たちの供養は受けたくないのだ。」と言いました。

これらたくさんの猿たちは、実は自分たちこそが身や心に欠陥を持っていたことを初めて悟りました。

このたとえ話によって、大勢で心を乱して妬み心も深く我がまま勝手にふるまう者が、ひたすら真面目に生活して努力している者に対して、ありもしない悪口を言いふらし中傷する輩になずらえて説いた話で、世の中で「鼻欠け猿」というのはこのことです。

沢山の鼻欠け猿が満足な一匹を笑う。正しいことも大勢の間違った考えの前に押し切られてしまう、仲間が多ければ自分たちの欠点に気が付かないというたとえで今でもよくある話ですね。